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■ Title : EXLIBRIS / Franz Von Bayros (1866 - 1924) / CopperEtching? / WIEN
● 蔵書票:酔っぱらった天使 / フランツ・フォン・バイロス
Franz Von Bayros (1866 - 1924)
さて、今回の弦楽器系版画作品はついに登場してしまった ... 知る人ぞ知るバイロスです。ウィーンの装飾画家・「侯爵」バイロスとも呼ばれ、「装飾的」あるいは「優雅」と称される作風にはファンも多く、弦楽器の作品も多いため鶴田個人からみても興味深い作家であります。
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庭園で優雅に唄い踊る貴族の皆様でしょうか。賑やかな声が聴こえてきそうです。この版画に登場している弦楽器はギターとヴァイオリンです。ヴァイオリンはネックが短く弓もテキトーに描いてあります。ギターは指板とサウンドホールあたりの描写が甘く、ブリッジが細い。これはバイロス作品に頻出するギターの特徴でもあります。フレットはもちろん省略! Googleで バイロス を画像検索するとおびただしい数の作品が検出されるはずです。残した作品の数においても質においても特筆すべきものがあります。
書籍の挿絵画家であり、蔵書票の専門画家でもあったバイロスは19世紀の象徴主義 デカダン派で当時の画壇では良く知られた画家でありました。ただ、同時代のビアズリー(サロメの挿絵で有名)と比べると現代における知名度は比較にもならないほど低いのです。作品が多く優雅でありながらも、エロスの作品群が偏って評価されてしまっているためでしょう。堂々と教科書に紹介できる作家ではないようです。それどころか、1980年代にサバト館から出版した『バイロス画集』はワイセツであるということで横浜地検に摘発されちゃいました。芸術かワイセツか!? 当時多くの著名人を巻き込んで大論争となりました(裁判の結果は生田耕作などの主張が求められ芸術性が認められた)。
ちなみにバイロスには兄一人と姉二人の兄妹があり、本人は末っ子でありました。また、ヨハン・シュトラウスの長女と結婚して1年足らずで離婚しています。バイロスの作品をあれこれ見ていると本人はギターやヴァイオリンは演奏しなかったと私は考えていますが、音楽業界とはただならぬ深い交流があったと思われます。
皆さん相当ワインが入っているようにも見え、ダンスチームは盛り上がっていますが、右の二人はギターとボタンアコーディオンで熱心に二重奏の練習中でしょうか? ちなみに、私にはこの版画の中央の天使が酔っぱらっているようにしか見えません ...
紙のサイズ:180mm x 230mm
版サイズ:130mm x 180mm
裏面:ブランク
【参考】
・生田耕作(wikipedia) :http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%94%B0%E8%80%95%E4%BD%9C
記事:2014年12月2日