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■ Title: BETWEEN LOVE AND RICHES
/ Painter: W.A.Bouguereau(1825-1905) /
Engraver: GOUPIL & CO. / Print:1888年 / Publisher:George Barrie
(Philadelphia:USA) / Photogravure
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弦楽器系版画シリーズ2008年の第三弾(3月)は「愛と富の狭間で」に登場するマンドリン(もしくはマンドリーノ)です。
原画:W.A.Bouguereau (1825-1905) : Andrew Stone Collection/USA
ブーグローはフランスのラロシェルに生まれパリで修行。パリの教会の天井画なども描いています。アメリカでも人気が高く、この版画も19世紀のニューヨークで制作されたものです。今回はマンドリンらしきボウルバックの楽器。ローズ系もしくは黒檀のリブを持ち、やや細長いシェイプ。弦は8本で4コース。ヘッドはペグの付き方からみてマンドリーノ風のペグボックスを持ちます。プレクトラムで弾いたのか指で弾いたのかは定かではありませんが、よく見ると右手の爪は短く切り詰めてあります。原画は1869年に描かれたものですが、版画として印刷されたのは1888年。画家は1850年代初頭にイタリアの都市と田舎中をくまなく旅行したという記録があり、ルネサンス期の絵画や彫刻・音楽にも親しんだことでしょう。この絵のテーマもイタリア滞在の影響によるものと考えられます。
フォトグレイブらしい滑らかなトーン。爺っちゃんのヒゲもじつに緻密。陰影の描写と衣類や肌の質感が忠実に再現されています。紙は厚手で、目立つ色あせや汚濁・ホシも無くじつに素晴らしいコンディションです。今回の版画画像はいつもと違って印刷面より広く余白の表記までトリミングして掲載してみました。現物はさらに紙が大きくて余白を大きくとってあります。印刷面サイズは17.5cm x 21.4cm
光は斜め上45度のレンブラントライトといったところでしょうか。画面右下の花は何でしょう? たいていの絵画の場合は花言葉等をもって主人公の心情を暗示させることが多い(純潔を顕すユリとか)のですが、今回は植物については調査しませんでした(どなたか御存知の方はメールください)。素朴な印象の少女の傍らには富裕層と見られる老人と音楽好きの若者。どちらも求愛の模様。しかし視線が意味するように彼女のキモチはウワの空。彼女はどちらを選ぶのでしょう?
さぁ、あなたならどちらを選ぶ? どうする? どうする? どうするアイフル?