弦楽器系歴史的版画の世界

(C) Makoto Tsuruta / CRANE Home Page / AllRights Reserved
戻る


Title: MEZZETIN (GUITAR PLAYER) / Painter: JEAN-ANTOINE WATTEAU (1684-1721) /
 Engraver: L. MULLER / Prin:1889年 / Publisher :GAZETTE DES BEAUX-ARTS / Steel?Engraving




版画シリーズ再開とお正月を祝して今回はワトーの登場です! 楽器はもちろんバロックギター。

ほとんど偶然入手したこの版画。元絵は17世紀〜18世紀初頭に活躍したロココ期の画家ワトーの「メズタン」。ギター業界では知らない人はいないであろう名画ですね。油絵のオリジナルは手の届かない存在ですが、版画ならこうやって手にとって気楽に楽しめるというものです。ワトーは素晴らしい油絵をたくさん残していますが、とりわけバロックギターに関する作品とその素描は良く知られるところ。私も上野の国立西洋美術館で習作の現物を目にしたことがあります。ギターの当時の演奏スタイルを知る良い資料でもありますね。奏者の右手の位置や角度、コードを押さえた左手にも御注目あれ。一説によるとモデルとなった奏者はワトーの友人だとか.....。



ジャン・アントワーヌ・ワトー/メズタン Mezzetin, 1719年
※ メズタンはイタリア古典喜劇(コメディア・デラルテ)のキャラクター Mezzetino



版画はフランスの出版社GAZETTE DES BEAUX-ARTS(GBA)が1889年3月に出版した本あるいは画集の抜粋1ページです。本からの抜粋とはいえ版のワク型もクッキリで裏面もブランク、しかも原画と寸分たがわぬ正確な描写で見る者を楽しませてくれます。紙質も縞の付いた厚手の専用紙で、このあたりに出版社のこだわりを感じます。印刷面サイズ139mm x185mmの小ぶりな1枚。

ロココ期の絵画には森や庭園で貴族がくつろぎ戯れるといったテーマが頻繁に描かれるのですが、ワトーもまた例に漏れません。庭園には人物以外にも石像が描かれることも多く、ここでは奏者の後ろに女性の胸像のシルエットが描かれています。色白の女性が白い服を着て闇苅で不気味にたたずんでいるというわけではありません。

私はギターを持って歌っている人の絵を見ると、反射的にギターを持った渡り鳥(小林旭)を想像してしまいます。テレビがお茶の間の主役であった時代、これも世代の性でしょうか。燃えるオトコの赤いトラクターの歌等がいまだに耳に焼き付いて離れません。ワタクシも典型的な昭和の日本人ですなぁ.... 。
しかしこの奏者、すっかり悦に入ってノリノリ。ジャガジャガ弾きながら独りで歌いまくっています......



備考:YouYube: 小林旭 自動車ショー歌





弦楽器系歴史的版画の世界に戻る

 


 (C) Copyright CRANE Home Page / AllRights Reserved info@crane.gr.jp 


BACK TO CRANE TOP PAGE