|
■ Title: Liebessehnen (The Love
Song) / Painter: A.Fabres / Engraver: - / c.1890s /Wood Engraving
● たまには民族楽器系の版画も紹介しましょう。長〜〜〜〜〜いネックに細身のボウルバックボディはおそらく「サズ」と思われますが、よく見ると小さなサウンドホールを備えています。現代によく見かけるサズはサウンドホールの無いものが一般的なように記憶していますがこんなのもあるんでしょうね(はい、思い出せない方は Tassi HomePage で確認してくだされ)。
この女性、右手を見るとプレクトラムではなく指で演奏しているように見えます。しかもサム・アウトサイド奏法で小指置き。はたしてスチール弦なのでしょうか? 版画の現物は非常に大きな紙に印刷(ドイツのアートプリント)されており、弦の数を数えると4コース8弦 ん? 3コースじゃないぞ。 サズはイスラム圏の中近東あたりに古くから似た楽器が多く存在し、ボディサイズや弦の数やサウンドホールの有無など様々な派生楽器があったようです。トルコ4000年の歴史を紹介した「トルコ三大文明展(2003年:東京都美術館開催)」でも紀元前17〜15世紀の壺にサズらしきネックの長い弦楽器が彫られています(ヒッタイト帝国時代の浮彫装飾壺)。
このお姉さんの足の組み方に注目。つま先を立てて、こう........... 現代でもこういう楽器の構え方をしませんか? アナタ!? 覚えがあるでしょ? ギターショップに行って足台が無いときにこうやるでしょ? でしょ? 私もときどきそうしてます。それにしてもじゅうたんの上に椅子を置いて周囲はバラの花が散乱しており、おまけに背後に大きな壺が見えて、なにやらタダ事ではなさそうです。お姉さんは涼しい顔をしていますが、きっと演奏がうまくいかなくて、こう、カッ! となって半狂乱でキィ〜〜〜ッ!! と花束をかきむしり........... ようやく落ち着きを取り戻して放心状態でアンコールといったところでしょうか(なんて勝手な解釈)。
曲はもちろん、飛んでイスタ〜〜ン、ブゥ〜〜〜〜ル.....♪
カールした長い髪と衣装がとてもよく似合う女性です。原画はフランスの画家 Fabres ですが彫り師の名前は不鮮明で読みとれません。印刷面サイズ 301mm x 445mm