弦楽器系歴史的版画の世界

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Title: Mandolinata / Conrad Kiesel / FRANZ HANFSTAENGL / c.1890 / Wood Engraving (Art Print)

 

 

デカイ! デカイ! デカイ!  なんてでっかいマンドリン?でしょう。マンドローネでしょうか? コードの押さえ方や右手のフォームをみてもたんなるモデルさんではなく楽器の弾ける女性のようです。6コース複弦を指で奏でている点に御注目(ピックを隠し持っていたりして)。描かれた時代を象徴してか、背景のタペストリーや身にまとう衣装(襟元や袖や柄)にジャポニスムの影響が見られます。 用紙のサイズもまた大きい! 用紙サイズは約 44.6cm x 30.2cm。 しかもデューラーもびっくりの木版画(リトっぽくもあるけど)。我が家のA4スキャナにはとうてい納まらない面積です。

 

原画はドイツの画家 Conrad Kiesel (1846〜没年不明)によるもの。 Kiesel氏は彫刻家として、また肖像画家として腕を上げ、とくに女性の描画ではとくに才能を発揮した画家でした。1800年代終わり頃にベルリン美術アカデミーの教授職に就いたとの記録があります。ツヤのあるなめらかな紙への印刷で、19世紀末期当時の量産プリント(木版画からの)。印刷はベルリン。

大きなマンドリン風の楽器はその名称が謎です。マンドロンチェロ(=マンドチェロ)ってのがマンドローネよりも少し小さいんでしたよね? しかし装飾の特徴などからナポリ界隈の18世紀の楽器でしょう...... 私も名称についてはちょっと自信がなくなってきました。それでマンドリンといえばこの人、M野氏に尋ねてみました。回答によりますと世間でのマンドリンの呼び名についてですが、マンドロンチェロ、マンドローネ等が称されたのは軍楽隊での合奏曲が登場した以降の19世紀半ばになってからということらしいです。従って18世紀のスタイルでここまで大きな楽器というのは謎.....。大きさ的にはマンドラ・テノール......とのことでした。

で、私もちょっと調べてみましたが似通った楽器も見られるものの、ナットクいくようなものが見あたらず.....いずれまた見つけたらこの説明文に追加します。気長に情報モトム。お姉さんの体格がちっちゃいから、というのは無しね。

 

 

 

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