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■ Title : no title (LutePlayer)
1600年頃 /Publisher: - . Original wood engraving.
● リュート奏者
今回の版画はちょっとレア。かなり希少。リュート演奏家が盾の隣に立ち、足下には書物があります。木版画で、よく見ると彫りかけの未完成であることがわかります。紙の質や状態などからみて1600年頃に試し刷りされたものの一部と思われます。アメリカの版画商から入手したものですが、売り主も手元の膨大な資料にこれと同じようなものは発見できず、似通った作風や彫りの状態、インクや紙や奏者の衣装などを総合的に検証して1600年頃ではないかと申しておりました。
当クレーンの版画コーナーでは今まで、出典の明らかなもの(原作者や彫り師や出版社)を掲載してきましたが、こういった謎めいた作品は珍しいです。奏者が手にしている楽器は6コースか7コース程度のルネサンス・リュートに見えますが、弦をどう数えたらいいのか少し判別が難しいです。腰にはサーベルを挿し、オシャレな衣装で文学や音楽を愛好する殿方といったところでしょうか。
補足:この版画、楽しみに届くのを待っていたら別モノが届き、売り主に確認したところ私が買ったものはチェコへ届いているとのこと。それで私からアメリカの売り主へいったん返送し、チェコからアメリカ経由で約1ヶ月かかって本作品が日本に届きました。原因はアメリカの郵便局員が間違えて伝票を貼ったため、ということが報告されてきました。やれやれ....
紙のサイズ:143mm X 191mm
印刷面サイズ:107mm x 120mm
裏面:ブランク
側面:-
当時のオリジナル木版画:未完成または試し刷り