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■ Title : PAYSANS DE MURCIE
1876年頃 /Publisher: Elisee Reclus for Book "The Universal Geography".
Original wood engraving: drawn by Fritel, engraved by C. Laplante.
● ムルシアの農民
原画はP. Fritel と左下に書かれているので、Pierre Fritel のことでしょうね。たしか Fritelさんってフランス人でしたよね? 旅行とかでスペイン南東部のムルシア(MURCIE/MURCIA)を訪れた際に描いたものでしょうか。民族衣装に身を包んで杖をもつ男性2人。足腰のシャキッとした様子からして、杖ではなく、しょい棒だったりして... 。帽子が特徴的でチロルチョコみたいですね。え?チロルハットとは違うって? まぁ、いいでしょ。バミューダと思われる裾の短い短パンからニョキっと足が出て涼しそうです。だけど、このポールスミスのマフラー、長すぎ!! ん?よく見ると幅がけっこうあるようなので、ペンドルトンのブランケットでしょうか? フリンジも異様に長いのでユザワヤ特注のカーテンかもしれません。いずれにせよ男性がどうしてこんな布を持ち歩くのかは謎です。
お父さんは「ハラへったなぁ、か〜ちゃん、メシはまだかい? ボリ、ボリ..... 」とオナカをかきながら台所が気になっていますが、若いもうひとりは娘さんの弾くギターに(娘さんに?)夢中のようです。
この娘さん、よく見てください。ギターの構え方がプロフェッショナルです。程良く脱力した腕と手首のしなやかさが美しいフォルムを形成するのです。この娘さん、このクレーンの版画シリーズに登場する弦楽器奏者のなかでも屈指の名手とみた! 高田元太郎ギター教室でカルレバーロ奏法を修得したに違いありません。
さて、その楽器に目をやると、な、なんと!このギターは5コース(ヘッドは9穴?)ではないか! スペインのこの時代なら当然6コース12弦でしょ? ヘッドの形状やボディのシェイプ、そしてブリッジ形状も19世紀スペインではよく見られるスタイル。ヘッド上部のダブル(メガネ風)のストラップホールもまた19世紀によく見られる特徴。弦は5本? 見ようによっては10本。 画家のFritelさんが勝手にフレンチにしちゃった? いずれにせよ謎です。フレットレスだ!なんてヤボな指摘はやめといて、指板がどのようなタイプであるかは不明。よく見ると表面板の周囲にはサウンドホールのロゼッタと同幅程度のパーフリングが装飾されていたであろうことが覗えます。
紙のサイズ:175mm X 266mm
印刷面サイズ:128mm x 188mm
裏面:ブランク
側面:-
ブックレットより