|
■ Title : The Rajah's Daughter
Painter: F.P.Stephanoff/
Engraver: J.Knight / 1844年頃 /Publisher:FISHER, SON & Co, LONDON & PARIS. / Steel Engraving
● しばらくぶりに更新の弦楽器版画コレクション紹介です。今回は西南アジア系民族楽器。
女性の衣装や背景の建築物の様式から安易に想像するとインドあたりでしょうね。サズのようにも見えます。表題は直訳すると「インドの国王の娘」ってトコでしょうか。上品な顔立ちの女性が豪華な衣装をまとって湖畔でサズを奏でる、といった様子なのですが、足下を見るとステージのような台座があります。さらに左肩の後には大きな植物の葉をモチーフにしたようなパネルも見受けられますね。背後の花も含めてなんらかの暗示があるのかもしれませんが、詳しいことはよくわかりません。
糸巻きは木製の3個が確認できます。ただ、顔の大きさに対する手の小ささや、ネック及びヘッドの細さを考えると、多少デフォルメされているようです。
長〜〜〜く表面板が延長されているようにも見えますが、継ぎ目が省略されているだけです。従って、楽器全体はフレットもナットも「このさい全部省略しちゃえ!」というノリで描かれており、ブリッジ周辺も当時の実際の楽器の構造に忠実には描かれてはいません。
腕や指遣いを見る限りでは、絵のためのモデルさんではなく実際に演奏できる奏者と考えられます。どんな演奏をしたのでしょうね? お姫様でもプロ並みの演奏をしたのでしょうか。手は小さく描かれていますが、よく見ると腕は案外太く、血圧計?が装着されています!? この版画の柔らかい印象とは裏腹に、テクニックを駆使してガシガシ鳴らす激しい演奏家だったのでしょうか!?
イギリスを拠点にパリなどで出版事業を展開したフィッシャー社による版画で、元画はF.P.ステファノフ、彫り師はJ.ナイトです。この版画の売り主によると1844年に印刷されたものらしいのですが年号は印刷されていません。紙はベージュに色あせて、シミも少々ありますが全体的には良いコンディションといえるでしょう。
複数の彩色版も存在します。
印刷面サイズ:125mm X 172mm
裏面:ブランク
側面:金塗装