関税とその支払いについて

国際配送会社(ここでは民間企業FedEX社)が通関手続きと関税支払いを代行する例

さて、さきの荷物が到着してから数日経たある日、国際宅急便のFedEx社から封書が届きました。FedEx社では日本の関税に荷物が届くと輸入の手続きと関税を立て替え払いしているのです。つまり私がわざわざ税関まで出かけて関税を納めなくてもいいのです(成田まで行って自分で通関手続きして関税を払って自分で荷物を持ち帰ったこともありますが)。自分でそれをやらなくてすむかわりにFedEx社へ手数料を含めた金額を支払えばいいわけです。配達されたときに配達員に支払う方法もあります(国際郵便など)。
送付されてきた封書には東京税関成田航空貨物出張所の発行する「輸入許可通知書」と「輸入(納税)申告控え・蔵入承認申請控」やスチュワート・マクドナルド社の注文控、そしてFedEx社からの立替分請求書などが入っています。関税の中味はというと日本の消費税や地方税です。ちなみにLMIからは関税の請求は来ません(0円)でした。

このFedEx社の請求書には振り込み口座が記載されているのでその指定口座に立替分を振り込めば、いままで紹介してきた一連の個人輸入の全てが終わるのです。今回の立替分は1800円でした。

 

ちなみに私はふだん三和銀行を使っていますので「テレホンバンキング」を使って職場から昼休みに携帯電話にて振り込み(上記1800円)を行いました。約5分程度で楽々快勝! 銀行まで出かけて窓口で数十分も待たされたり、キャッシュディスペンサーで後ろからコワイおじちゃんにせかされたりすることはありません(笑)。この「テレホンバンキング」は電話で残高照会、入出金履歴、振込、振替、外貨預金、海外送金できる(時間帯によって自動音声もしくはオペレータの案内)ので忙しくて面倒くさがり屋の私にはピッタリです。

更新(2002.04.11):この記事を書いたのち「インターネットバンキング」というオンラインサービスを利用するようになりました。三和銀行もUFJ銀行(のちの三菱東京UFJ銀行)と名前を変えて(どこの銀行も近年は合併・統合しているようですね)本格的にWebから利用できるようになりました。夜中でもインターネットから送金できたり残高照会や各種手続きが可能ですので忙しい私には非常に助かります。郵便局もオンラインサービスを検討して欲しいものです。順番待ちの長蛇の列....銀行や郵便局に限らずお役所でも同様ですね....。

更新(2009.01.15):この記事を書いたのち、数年後に郵便局でもインターネットを使ったネットバンキングが実現しました。2009年1月5日からはゆうちょ銀行と一般の都市銀行との送金も相互にできるようになりました。

【参考】心配なのが料金支払いや商品送付のトラブルですが、クレジットカードのトラブル(たまにあります)の場合はそのクレジットカード会社に相談するとして、商品の一部が破損しているとか不足している場合は至急その会社にメールかFAXで連絡しましょう。たいていは良心的な対応をしてくれます。相手の会社が品物を送ってくれないとか対応が悪いというような場合はどうしたらいいのでしょうか。心配な方はジェトロさんのホームページに個人輸入の解説がありますのでどうぞ。https://www.jetro.go.jp このほか様々なホームページ上でQ&Aなども見つけることができます、読んでおいて損はありません。私は今までアメリカやヨーロッパから郵便や小荷物を送ってもらう機会が幾度となくありましたが今までトラブルは皆無です。用心深いだけでなく、運が良いだけなのかもしれません。しかしイザというときに備えて注文はなるべく高額にならないように心がけています。

 ※ 以上は1999年から2009年までの記事

税付き荷物が郵便で届いた場合についての記事を以下に追加しました。


国際郵便物が「税付」で届いた場合。

ドイツからよくガット(羊腸)弦を購入するのですが、届いた箱に赤いシールで「税付」と貼られていると、ドキッ!とします。つい先日も運んできた郵便局の方いわく5500円払ってくださいとのこと。うひゃ〜!
よく見ると箱の側面などに課税通知書等在中と書かれたビニール袋が付いていて、その中には3つの書類が入っています。
空港とか港の税関(今回は横浜税関:川崎)でドイツから日本への受け取り(通関の手続き)のうえ、関税等の支払いを郵便局が立て替えてくれて、私の自宅まで届けてくれているということです。

 その付属している3つの書類は以下のとおりです(書類名をクリックするとでっかい画像を表示します)。

「国際郵便物課税通知書」

差出人や受取人の情報のほか、発送された国名、品名、原産国、などが書かれていますが、「告知書品名」は楽器の弦の場合は MUSICAL STRINGS などとなります。そう、一般的には楽器やその付属品などは関税がかかりません。ではなぜ? よく見ると関税は確かにFREEとなっていますから1円も徴収されません。じつはそのほかに「消費税」と「地方消費税」を支払う必要があるのです。え?日本国内で買い物していないのになぜ消費税を払うのかって? いえ、消費税というのは国内外にかかわらず、とにかく物を買ったらすべて課税されるのです。消費する行為に掛けられる税ですな。火星人から隕石を買っても課税されるんですよ。ただ、国内の消費税率(5%から8%になりましたが将来まだ増えそう)がそのまま輸入品目の価格に課税されるのではなく貿易の場合は品物の種類や総額によって変わります。
例えば今回114314円(約12万円分)の弦を買ったとすると(共同購入では時々これくらいの金額になるんです)、ドイツの売り主は弦を入れた荷物のラベルにその価値である937EURO(1EURO=122円現在)と書いています。税関ではその記載金額の約60%を課税対象にしますので 68532円と考えて計算します。消費税は現在の8%とは限らず国税局がこまかく分類して決めており、今回の例ではこの書類によると消費税が6.3% となっていて 4284円。地方消費税はさらに複雑で6.12% (4200円) の 17/63だそうで 約1133円になります。お役所はよくこういった奇怪な計算をしますな。

 消費税:  68532円 x 6.3% = 4284円
 地方消費税: 68532円 x 6.12% (4200円)  x(17/63) = 1133円

従って関税は 0円 ですが二種類の消費税の合計が5300円となります(端数は整理されることになってます. 鶴田も端数切り捨てを好みます)。


「納付書・領収証書」

荷物受取人の宛名と氏名、税額などが書かれており、文字通り領収書です。ちゃんと納税しましたよ、と。


「不服申し立て等について」

どうしてこんなに徴収されるのか?納得いかん!という方はこの文書に書いてある手続きをすれば、すでに支払った関税/消費税を返金してくれることがあります。但し、場合によっては納税せずに(その場では支払わずに)手続きする方法もあります。それはさきの国際郵便物課税通知書の裏面にこまかく書いてあります。税率を再調査してもらうほかに免税(学術研究用品とか再輸入品目など)の場合、関税定率法などを調べる必要があります。

 

輸入した品物に支払うお金を「関税」とおおざっぱに説明されることが一般的ですが、個人が海外から買い物をするような場合 関税は 0円 で 消費税と地方消費税のほうを徴収されていることがほとんどかもしれません。特殊なモノは除きますが楽器や弦の他にも時計、カメラ、化粧品、ウイスキー、家具、玩具、人形、彫刻、版画、自家用車、バイク、スキー用具、ゴルフ用具、金属食器など、けっこう広い範囲で関税がかからない( FREE)のです。関税がかかる品目というのは日本に輸入することで国内の産業が衰える恐れのある食品などが主体です。
一方の消費税と地方消費税ですが、品物の値段が1万円(課税対象額を含めると約16000円)を目安として、これを超えると消費税と地方消費税が徴収されます。ちなみに当工房の弦の共同購入では手数料を頂いていますが、たいていはその手数料から関税(消費税+地方消費税)も極力払うようにしており、実際に方々へ請求しているのはドイツから日本への人数分割送料のみです(たまに例外有り)。

あとは上記の5300円のほかに関税が発生したことによる通関手数料が1つの荷物につき 200円 かかるので、ここで紹介している例では結果的に郵便屋さんに支払うのは5500円 となります。

国際郵便で送られてきた荷物は郵便局員が現金で関税(というか、しつこいけど実際にはほとんど消費税/地方消費税)を徴収してハンコを押したあと、荷物を渡してくれます。絶対に先に荷物を渡してはくれません(笑)。

 

 

参考

・東京税関 http://www.customs.go.jp/tokyo/  Q&A(FAQともいふ)

・輸入統計品目表(実行関税率表) ※ 弦楽器の弦はここ「第92類」に掲載

 

 

記事:2017年2月11日  (記事のなかの税率等は現時点のものです)


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