Concept-8 製作過程 その4
LastUpdateMonday, 11-Mar-2019 01:28:37 JST 
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- My original concept model -
Made by Makoto Tsuruda in 2019.


2019年3月11日公開:最新更新日Monday, 11-Mar-2019 01:28:37 JST


 

CRANE コンセプトモデル 2019
  前回(その3)に引き続き第四弾です

 

【その4】


前回は表面板のブレーシングをあれこれ思案したのでありましたな。今回はその続きです。まだ表面板と側面板は接着していません。
ちょっと復習:センターサウンドホールレスの特徴を活かしてメインの X ブレイシングを堂々と配置(接点は半分の厚みに欠いて組んでいます)。これに垂直のブックマッチラインに沿ったセンターを1本追加(正確にはスルーではないので上下に追加というべきか)。ハイポジションのサウンドプレートは厚めのセドルです。接着はテーブルごとクランプを掛けてます。

 

 

最初は次の写真のようにメインの水平バーをアッパーブーツあたりに想定しましたが、思いきって下に下げたので交差点が渋滞して硬い印象です。
このままでは X というよりも (アスタリスク)ブレイシングですな。

 

 
それで、せっかくキッチリ組んでいた水平バーですが立体交差の歩道橋に変更してフロート構造にしました(以下の写真)。このほうが動きが良さそうです。
配置を決定したところから順に接着しては乾かし、どんどん削り込みを行います。
ちなみにメインの水平バーはわずかに逆アーチをかけてあります。

 

 

このあと最下部に逆「ハ」の細くて薄いブレイス(brace)を貼りまして、そしてまた考え込みます ..... う〜〜〜ん ....
構想段階では当然ながらいくつかのブレイシングパターンを考えていたわけでありまして、腰下をファンブレイシングにする構想もありました。

 

※ Brace:名詞では「支柱」とか「かすがい」、動詞では「引き締める」の意味があります。


ギター製作(とくにモダン)をやっている人なら材料の樹種選びと同じぐらいブレイシングを重視(ときに最優先)する人も多いでしょう。
小さめの楽器では単純に X のみの場合もあります(ウクレレなんかもそうですね)。大型の楽器は複雑になる傾向が有ります。
標準的なモダン /クラシカルギターよりも少し小さい、今回のようなギターは中間の微妙な感覚が必要です。ウクレレほど単純化せず、かといって複雑過ぎても効果は期待できない .... あなたならどれにします?

 

 

1週間ぐらい考えて、結局は上の写真の中央に決定。いわばトリプル X ブレイシングといったところでしょうか。

 

 

やっと難関をひとつ越えた感じ。自分で楽器を作る楽しみはこういったところにあるのですが、考えすぎるとなかなかまとまりません。
ブレイシングでだいぶ時間を費やしてしまいました。速やかに次の工程へ参りましょう。

両サイドの向き合う底部中央を切り開いて三角飾りプレートを接着します。
デザインとしては簡潔ですが本黒檀の黒とメイプルの白で引き締まったコントラストです。

 

ようやく表面板と側面板の接着です。今回はテーブルごとクランプを掛けてます。上下左右の4回に分けて接着。
あとはネックのほぞ部分を欠いて一段落。

   

 

うむ。だんだんギターらしくなってきました。

 

つづきは「その5」にて掲載します。

 

2019年3月11日公開

by Makoto Tsuruta, TOKYO JAPAN.
 
  

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