Concept-8 製作過程 その8
LastUpdateSaturday, 13-Apr-2019 23:12:46 JST 
(C) 2019 Makoto Tsuruta / CRANE Home Page


- My original concept model -
Made by Makoto Tsuruda in 2019.


2019年4月13日公開:最新更新日Saturday, 13-Apr-2019 23:12:46 JST


 

CRANE コンセプトモデル 2019
  前回(その7)に引き続き第八弾です。いよいよ完成します。

 

【その8】


ネックをボディにニカワで接着したのち、ボディを塗装します。表面板は先に塗装しておきました。
工房クレーンではセラックニスやオイルニスが主体なのでスプレー塗装用のブースはありません。しかし自動車部品やカメラ部品などを塗装することもあるので、裏庭にポリエチレンカーテンで養生してスプレー塗装しています。
天候に左右されるのが難でありまして、この日は春の長雨がいったん止んだのをみはからって塗装作業。雨上がりで晴れてきたのでホコリも無く、風の向きや強さを警戒しつつ数回の乾燥と塗装を繰り返します。おおむね2時間ほどかかって室内に引き上げた直後に雨が降ってきました。

 

  

 

ボディもネックも塗装面を埋めずにわずかに導管が出る程度に薄く塗装します。
ビンディングも全周のわたってキッチリスキマ無く、塗装すると深い黒が引き立ちますな。

 

 

表面板はブリッジのマスキングテープを剥がして、次はブリッジをここへ接着。
その前に位置決めをして圧着用の治具を作ります。治具はボディ内部のブレイシングを考慮せねばならないので本来なら箱にする前に作ったほうが楽なのですが、忘れていましたので、あとから作っています。

  

 

ここも膠を使います。素早く作業するのでリハーサルをやっておきます。
重たくて中脚の付かないC型クランプなので必ず枕を敷きます。傷を付けないように表面板全体を養生しておきます。
糸巻きと弦が出番を待って見守っておりまする。

 

膠でブリッジ接着する本番です。ちょっと緊張します。さきほどの治具がボディ内部(ブリッジの裏)にあるのが見えます。

 

 

以前作ったモダンギターの Concept-6 の写真。今回もこれと同様に高音域の指板はせり上がっており、パネルを敷いてあります。

 

あれこれ思案しつつ、今回は2mm程度になりました。シープレスの単板です。修理でネックを外すときにはこのパネルを薄いノコで切除したのちヒールを開いてスチームかお湯でほぞの膠を溶かします。元号が令和と発表された記念にサインしておきました。

  

 

完成も近づいて調子に乗っていたら、またもベルトサンダーが故障! 電源が切れなくなりまして。
以前にも同じ故障を修理しましたな。手早くちゃちゃっ!と治して作業再開。サドルを削ります。

  

 

次にナットですが、今回は特別仕様で幅の広い黒檀を使っています。糸巻きは巻き軸穴の微調整を行い、実際に弦を張って弾いてみては外して調整。実際にはナットの周囲をマスキングテープで養生して作業しています。

 

 

弦の交換作業は事故防止のためにブリッジ後方を養生しておきます。つい、バチン!とやっちゃうので要注意。
プロアルテノーマルテンションを試しました。クラシックギターの弦では最も入手しやすく、音程も正確。ノーマルテンションはやや弱めの張力で一般的なモダンギターの弦は40kg前後が標準ですが、プロアルテノーマルテンションは 37kg程度。

しかし、弾いてみると個人的にはまだ張りが強すぎるのでプロアルテライトテンションに交換。弦長が616mmなので弦計算尺を使って計算してみると、総張力は 33kg 程度になります。19世紀ギターがおおむね30kgですから、だいぶ弾きやすくなりました。糸巻きへの負担も軽減。
音の鳴り方もノーマルテンションと劣らず。

 

 

弾いては調整すること2日間。いよいよ完成です!
ボディ周囲のわずかに盛り上がっているビンディング、プチレイズドフィンガーボード、お尻の三角プレートも綺麗にまとまりました。
高音弦の巻き方は先日、佐世保のTさんに教えてもらった方法を採用してます。

 

 

工房で起立している完成直後の コンセプト8です。

 

 

ふぅ ...  達成感がありますな。

こちらに完成写真と仕様などを掲載しておきます。

  

2019年4月13日公開  

by Makoto Tsuruta, TOKYO JAPAN.
 
  

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