|
■ Title: Liebessehnen (Sultan's
Favorite Song) / Painter: A.Fabres / Engraver: - / c.1890s /Wood
Engraving
● さて、サズ・シリーズと化しているこのコーナーですが、今回もフタタビ画家のFabres氏の登場です。さきのLiebessehnen (The Love Song) の原画と同じ画家ですよ、皆さん覚えてますか? 今回はなにやらヒゲを生やしたおじさんが朝刊?を読みながらタバコを吸っていて、その傍らに女性をはべらしているという、いかにもお金持ちの行商人風であります。
女性が楽器を弾くという、いかにもわたくし好みのテーマですが、今回も同じくサズを奏でる女性です。注意深く観察すると前々回の作品でサズを弾いていた女性とほとんど同じ姿勢であることに気づくでしょう。前回、サム・アウトサイド奏法か?なんて書きましたが、よく見るとそうでもなく、手首の角度と楽器の傾斜で微妙な右手ポジションを保持しているようです。いずれも付け爪らしきものは見あたらず、プレクトラム(ピック)も用いていないようです。今回の女性が弾いているサズには表面版上にエクステンションのフレットが接着されていることに気づきます。以外とテクニカルでドラマチックな演奏をしていたのかもしれません。
Antonio Fabres は1854年のバルセロナ生まれで、本来彫刻家として腕を上げていましたが、やがて奨学金を得てローマで活動するうちに絵画に目覚め以降は民族的肖像画を中心とした絵画に専念しました。アフリカやトルコの人々を描いた作品が多く残っています。印刷面サイズ 320mm x 229mm
たぶんこの絵はトルコを描いたものでしょうけれど、このおじちゃんは朝日新聞を読んでいるんじゃないですよね?