羊腸弦/ガット弦の共同購入
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2018年をもって定期募集(年3回)は終了しました. 今後は年に1回の募集.
募集時期はクレーンホームページのTopページページでアナウンスします
● キルシュナー社の弦各種:共同購入(輸入代行)
品 名:キルシュナー社の各種弦(共同購入)
製品の仕様:
キルシュナー社の製品の種類や価格について
素材・太さ・長さのほか、構成やコーティング、ポリッシュなど。
プレーンガット(羊腸)弦、銀巻き、銅巻き、オープンワウンド、ハイツイスト、ロープガット、フレットガット、テールガット など
新品/中古の区別:新品
備考1:ようするに共同購入の幹事役をCRANEがやるわけです。代行はそこそ手間もかかり厄介な問題もいろいろあるのでいつまで続くか.... 自分でもちと心配。... そんなことを言いながら、かれこれ18年以上続いています。参加される皆さんのおかげです(ホントに未払い等が1件もありません)... [2024年]
備考2:弦選びは手間と時間がかかります。入手した弦の価格にかかわらず自分の楽器に合わないこともあります(予想以上に良い結果となることもある)。羊腸はあくまで弦の素材としての選択肢のひとつであり、ガット(羊腸)弦にすれば必ず音が良くなるというわけではありません。入手した弦の太さ/ゲージを基に次回の注文ではそれよりわずかに太い(または細い)太さを選んで試してみる、そういった試行錯誤が必要です。そうなんです、市販のナイロン弦でも同じことです。でも、ナイロンと比べると値段は間違いなく羊腸のほうが高いのです。
弦の選択がよくわからないので計算と選定も鶴田に依頼したい方は相談に応じます(ただ、うまくいくとも限らないことを御了承くだされば)。
※ 弦計算尺は弦選びのツールとして有用です。
備考3:以下、こんな楽器にはこんな弦を張ってみました。過去の弦選びのなかから抜粋です。参考にどうぞ。
以下の例はパノルモならこのセットにしろ、とか、LAMYならこのセットにしろ、と言っているのではありません。こんなセットの弦を張ったら壊れず良く鳴っているパノルモもあるということであり、こんなセットで心地よく鳴るLAMYも有りました、という個体の一例に過ぎません。むしろ総張力の異なるセットを選ぶ目安として見れば有益かと思います。楽器が同じでもサドル高さなどのセッティングが違えば弦も変えねばなりません。
楽器例1:19世紀初期フレンチ(MARQUIS)
楽器例2:19世紀初期フレンチ(プチジャン:Petitjean)
楽器例3:19世紀初期フレンチ(無銘の新撰組)
楽器例4:19世紀前期イギリス(パノルモ)
楽器例5:19世紀前期フレンチ(水玉MOPイギリス市場向け)
楽器例6:19世紀中期フレンチ(テルツ)
楽器例7:19世紀中後期フレンチ(BRUGERE)
楽器例8:19世紀後期フレンチ(LAMY)
楽器例9:19世紀末期オーストリア(Slatin)
楽器例10:19世紀末期〜20世紀初頭オーストリア(ボヘミアン・レニャーニ)
楽器例11:19世紀後期〜20世紀初頭ドイツ(Waller)
楽器例12:19世紀初期イタリア(Gファブリカトーレ)
楽器例13:19世紀初期イタリア(Rファブリカトーレ)
楽器例14:19世紀前期オーストリア(無銘)
楽器例15:19世紀中期スペイン(マヌエル・ロペス)
楽器例16:ショートスケール 弦長560mm CRANE Concept-7b(クレーンオリジナルコンセプトモデル)
楽器例17:ルネサンスリュートの弦選び
楽器例18:バロックリュートの弦選び
楽器例19:現代のクラシカルギターにガット(羊腸)弦を張る例:田村ギター
楽器例20:現代のクラシカルギターにガット(羊腸)弦を張る例:ラミレス I 世 613mm
楽器例21:5コース バロックギター 弦長680mm A=392Hz 弦長640mm A=415Hz
楽器例22:4コース ルネサンスギター 弦長558mm A=415Hz 弦長520mm A=466Hz
楽器例23:5コース キタリーノ 弦長558mm A=415Hz
楽器例24:ヴィオラ・ダ・ガンバ 5つの例 弦長360mmから690mmまで A=415Hz
楽器例25:18世紀スペイン カディスの6コースギター ベネディット 弦長640mm A=415Hz
このほか、クレーンホームページの過去記事「弦のコーナー」にも各種楽器の弦選び例があります(大昔の記事ですが)。
備考4:シルク芯の巻弦VSとKSは製造中止になりました。個人的には気に入ってたのですが、たしかにやや切れやすい傾向はありましたなぁ...。かわりにVNGなどよろしいかと。
備考5:2018年9月 キルシュナー社のサイト がようやくリニューアルしたことを確認しました。 つまり個人でも注文しやすくなりました。これを機会に2018年10月をもちましてクレーンホームページの季節ごと(年に約3回)の共同購入を終了します。以降は臨時募集を1年に1回程度やるつもりです。その年の状況次第ではやらないかもしれません。募集するときはクレーンホームページのTOPにて掲載します。
備考6:コロナとウクライナ紛争等で様々な原料費や輸送費などが上昇したうえに2024年も円安が進んでいます。30年成長していない日本なんて言われるようにガット弦も日本人にとっては厳しい昨今です。
【はじめに:口上】
CRANEではオーガスチンとかプロアルテみたいなフツーの弦は取り扱いません。主に日本国内では入手しづらい弦に限ります。そう、具体的にいえばガット(羊腸)弦。従来日本ではごくごくごくごく一部の古楽器店や古楽演奏団体で販売していたり、あるいは一部の製作家が弦を分けてくれたりしていました。輸入の手間やコストを考えると、弦は儲かる商品ではないので基本的にボランティア的な頒布となることが一般的です。楽器の販売促進や啓蒙の意味ではこういった付帯サービスも必要ですね。
クレーンでも楽器を壊さないために、また、より良く鳴らすために弦選びの重要性を機会あるごとに述べてきました。同時にガット(羊腸)弦の特性や魅力についても機会あるごとに紹介し、推奨してきたつもりです。たとえば19世紀当時に製作された楽器をクレーン・ショーケースで販売するときも、出来る限りガット(羊腸)弦を張れるように努めてきました。
ところが、弦がヘタってきて交換するとか、少しだけ張力を変えてみたいとか、弦の素材を他のものに変えて試したい、という場合に手軽に近所の楽器店では入手できません。現在、ガット(羊腸)弦は自分で作るか海外メーカーから輸入することになります(多少の英語力や個人輸入の知識が必要な場合もある)。ときに外国語は得意だけどクレジットカードを使いたくないという方もいらっしゃいます。そのために19世紀ギターやリュートなどの楽器を敬遠された方も少なからずいらしたでしょう。あるいは古楽器を所有していても手身近な市販弦で代用できないものかと多くの方が思案・模索されたことと思います。そこで、それらの問題を解決しつつ、弦選択の重要性と関心を高めて欲しいと願い、CRANEにて輸入代行を行うことにしたのです。ガット弦の共同購入は2006年から開始しました。
世界中の弦メーカーは製品の音色や素材や耐久性も異なり、さらには決済方法もまちまちです(でした)。そこで、まずは私自身が様々な弦メーカーの羊腸弦を使った経験から、自信をもってお薦めできるドイツのキルシュナー社(キリシュナー社)の製品に限って取り扱うことにしました。以前はクレーン・ショーケースでガット(羊腸)弦のセット物を販売したこともありました。しかし、楽器によってゲージもセッティングも様々ですので、現実的には基本注文主が具体的に弦を選んでいただいて私はそのまま発注するのがよいだろうと思っています。キルシュナー社では「弦計算尺」を使えることも大きなポイントです、張力を5%程度弱めに(または強めに)したいとか、同じ張力のまま素材・製造法の異なる弦に換えてみたいときに弦計算尺はたいへん重宝します(クレーンでは弦計算尺も販売しています)。御不明な点は相談してください。
※ キルシュナー社の弦は羊腸です(ひつじの腸)。ガット弦メーカーでよくある牛の腸を羊腸と呼んでいるわけではありません(それはビーフガット)。
【注文の手順】
このページを一読いただいてmmm★st.rim.or.jpまでメールで申し込んでください。(★を@アットマークに変えて)
(1)自分の楽器に合った弦を調べる。上記の例も参考に。まったく不明なら鶴田へメール!
(2)弦の長さ、弦素材の種類、弦の太さ、必要本数、そして注文主の郵便番号、住所、氏名、電話番号をメールでCRANEへ送る。
(3)CRANEからの返事をじっと待つ。返事が来たら納品までおとなしく待つ。遅延等の問題があればCRANEから連絡します。催促しちゃダメ。
(4)ドイツからCRANEへ弦が届いたら品物と総額を確認してCRANEから各注文主へ総額をお知らせします。
(5)指定口座(UFJ銀行か郵貯が選べます)へお知らせした費用を振り込んでください。
(6)入金確認後に発送します。受け取ったら品物を確認し、一言でかまいませんので受け取った旨をメールで連絡ください。
例えば御注文はこんなカンジで.....
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CRANE様
弦長630mmの無銘フレンチ・ギター(19世紀後期らしい)を使ってます。以下のごとく注文しまっせ。
DL5054:3本
D5070:3本
D5085:3本
LK5116:1本
VN5170:2本
VNG5220:2本
〒123-4567
東京都あるとこ郡あるとこ村 1234番
山田太郎
電話:03-1234-5678
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【発注は季節ごとにまとめて⇒臨時募集となり年に1回程度】
共同購入は季節ごとに募っていましたが、2018年にキルシュナー社のサイトが整備され注文しやすくなりました。
鶴田の役目もそろそろこのへんで終わりにしようかと思い、年に3回とか4回やっていた定期募集は終了。今後は年に一度臨時募集を開催するつもりです。
細い羊腸弦はわりとよく切れますが、太いほど切れにくいです。そのため太めのガット弦はやたら長持ちします。20年以上使ってる人もいます。使わずに在庫としたもので10年過ぎた弦も問題無く使えることがほとんどです(色は多少変化します)。
ですからまとめ買いしておけば、5年や10年は買わずに済むこともアリです。経験的に。
【かかる費用は折半が基本】
羊腸弦そのものの価格がそもそも高いです。というよりナイロン弦と羊腸弦を比較してはいけないのです。羊腸弦は手工楽器のごとく「手作り弦」です。また、長さの指定も弦の種類によっては選べないことがあります、例えば90cmを注文しても125cmや115cmが届くことはよくあります。当然値段も変わります。さらに為替レートの変動も影響します。2020年からは新型コロナだのアフガン紛争だのウクライナ紛争などもあり国際情勢で材料費や輸送費用も上昇しました。
ドイツから日本への送料・梱包料などは共同購入ということで、注文した人数で折半します。
関税(実際は消費税と地方消費税)は鶴田が一括で払っていますが、分量が多い場合などは注文比率に応じて負担いただく場合があります。
【代行手数料と国内配送料】
鶴田が幹事をやりますが、代行手数料を頂きます。すんません。私には完全なボランティアではできません。それなりの手間も時間も知識も労力もかかります。ときにリスクもあります。弦選びの相談に応じます、とくに特殊な弦について御相談ください。問題が発生したときにも製造者と交渉します。注文した製品の品番に対して代替品で送ってくることはよくあるのでそのへんの交渉も行います。たとえばLKは180cmが製造可能なのでこれを2等分して使えば安くなります。ところがよく似た構造のLSは75cmと115cmしか製造していない究極のマニア弦で、CRANE秘技2等分の術は使えません。手数料については御理解のほど御願いいたします。
手数料は1回の注文で1300円頂きます。ちなみに、CRANEから日本全国の注文主への送料は別途かかりますのでCRANEで払います。つまり1300円に国内送料も含みます。基本は追跡できるレターパック。例外的に分量が非常に多い場合はゆうパックなどを使いますが追加請求しません。なお、国内配送手段や業者は私が独断で選びます。
【保証も返品もありませんが】
よほどヒドイ品質のものが発生しない限り(私はここ10数年のあいだキルシュナー社では粗悪品は1本しか見ていない。しかも即、交換品が送られてきた)、返品・返金はできません。あと、その弦が楽器に合うかどうかは試行錯誤です。羊腸に限らず弦選びとはそういうものです。1回の注文で楽器に合うピッタリの弦に巡り会えるとは限りません。なにとぞ御理解のほど御願いいたします。
まったく同じ弦長の楽器が数台あったとしてもそれらに最適な弦(素材や張力)は同じではありません。楽器に使われている木材やブレイシング、サドルの高さ、ネックの角度、といった構造やセッティングでも最適な弦は変わってきます。ガット(羊腸)弦にすれば必ず音が良くなるとは限りません。いろんな弦を買っては試すなんて、すごくお金がかかるじゃないかって? でも最良の結果を求めるなら結論はそうなります。
【キルシュナー社の弦の種類と性質】
ガット(羊腸)弦のバリエーションが豊富です。いくつか構造の例を写真で挙げておきます ...
ニスコーティングの有無や巻弦の芯材の違いやループエンドなど。ハープ弦やヴィオル系、コントラバス弦もあります。
※ 以下は2017年以前に撮影して掲載した写真です(まだキルシュナー社のサイトには弦のこういった写真が掲載されていなかった時代)。2018年9月にようやくキルシュナー社のサイトはリニューアルされ、種類別の説明も詳しくなり弦の写真も掲載されるようになりました。
【私はいつもどのように弦を選んでいるのか】
こちらを御覧ください。
注意:シルク芯の巻弦VSとKS、及びナイルガットのPEは製造中止になりました。
【楽器を壊さないで】
非常に残念なことに現代ギター誌で過去に「19世紀ギターにも現代のモダンギター並の張力の弦が張れるとか、むしろ高い張力の弦を張ることを推奨する」といったような記事を書いた人がいて、それを読んで真に受けた素直な愛好家の多くが試して楽器を壊した例が数多く発生しました。それらの被害に遭ったギターを私自身、何本も修理しました。出版社の編集者にも責任があると思います。同時に愛好家(楽器の持ち主)自身も反省が必要です。厄介なことに国内外の一部のプロ演奏家や一部の海外(イタリア)の弦メーカーの代表ですら危険な弦選びを平気で主張しています。シェリーのギターなどの誤った論文等が原因です。弦楽器は樹種と構造が決まれば機械的強度の限界はおのずと決まリます。
19世紀以前のそれは現代の楽器より弱い張力なのです。ですから現代の弦はそのままでは強すぎると考えましょう。例えば19世紀以前のほとんどのギターは(一部のごく例外を除く)弦長が630mm前後として1挺あたり約27kg〜33kg程度に設定します。基準ピッチが変わっても張力指標は同じです。それを超える弦を張ると、ネックの反り、表面板の亀裂、力木の剥がれや反り、糸巻故障などの問題が「ほぼ確実に発生」します。
※ 楽器を使った後に弦をゆるめる習慣も必須です。
どうか、お手元の愛器を壊さないでほしいのです。アナタ、歴史的に重要な楽器をお持ちでしょう? それはアナタだけの物じゃないんですよ。その楽器の長い歴史のなかの持ち主の一人に過ぎないことを忘れないでください。あなたの所有する時代で楽器を壊さず、楽器が健康で心地良く鳴り、能力を発揮できる弦を選んであげようじゃありませんか。そして次の時代へ引き継いで行きましょう。奏者が心地良いと思う張力と楽器に適切な張力とは同じではありません。くれぐれも過剰な張力には注意してください。
市販のクラシックギター用ナイロンのセット弦が数百円で買えるこの時代にガット(羊腸)弦を1本千円(モノによっては1本3千円とか)で買うのも妙な話です。しかし弦楽器を弾く以上、弦への理解と普段の楽器の状態チェックは不可欠と考えます。
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